
「健康診断や別の検査で、突然『お腹の血管が膨らんでいますね』と指摘された」 「これまで全く痛みもなかったのに、いつ破裂するかわからないと言われて毎日が不安…」 そのような戸惑いや怖さを抱えていませんか?
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)は、確かに放置すれば命に関わる病気ですが、どうか焦らないでください。現在は医療技術が大きく進歩しており、昔のようにお腹を大きく切り開かなくても、体への負担を最小限に抑えて「破裂」を安全に防ぐ治療法が確立されています。
この記事では、体に優しい最新のアプローチ「ステントグラフト治療」について、わかりやすく解説します。

1. そもそも「大動脈瘤」ってどんな状態?
人間の体の中には、心臓から足に向かって「大動脈」という一番太い血管が通っています。 長年の血圧によるストレスや血管の老化(動脈硬化)が重なると、この大動脈の壁の一部がもろくなり、まるで「古いゴムホースの一部がプクッと膨らんで、ゴムが薄くなっている状態」になることがあります。これが大動脈瘤です。
恐ろしいのは、この「こぶ」が大きくなっても痛みなどの自覚症状が全くないことです。しかし、薄くなった壁に血圧がかかり続け、ある日限界を超えて「破裂」してしまうと、お腹の中で大出血を起こし、急を要する事態となってしまいます。そのため、破裂する前にコブを治療しておくことが何より大切なのです。
2. これまでの治療と、新しい「切らない治療」の違い
では、膨らんでしまったコブをどうすればいいのでしょうか。
▼ 昔からある治療:お腹を大きく開ける手術(人工血管置換術) ひと昔前は、みぞおちから下腹部にかけてお腹を大きく切り開き、コブの部分を切り取って人工の血管に縫い合わせる大手術しかありませんでした。確実な方法ですが、体へのダメージが非常に大きく、長期間の入院やリハビリが必要でした。

▼ 最新の治療:お腹を切らない「ステントグラフト治療(EVAR)」
そこで近年、主流になっているのがカテーテルを使った新しい治療法です。お腹は一切切りません。 足の付け根(そけい部)に1センチ弱の小さな穴を開け、そこからカテーテルを血管の中に通します。そして、血管の”内側”に、「ステントグラフト」と呼ばれる人工血管を広げて留置します。
ステントグラフトの中にだけ血液が流れるようになるため、もろくなったコブの壁に直接血圧がかからなくなり、破裂の危険を防ぐことができるのです。
3. ステントグラフト治療の「3つの安心ポイント」
従来のお腹を開ける手術と比べて、患者さんにとって以下のような大きなメリットがあります。
① 大きな傷跡が残らず、痛みが少ない お腹を大きく切開しないため、術後の痛みがほぼありません。
② 高齢の方や、体力に自信がない方でも受けやすい 体への負担(ダメージや出血量)が非常に小ないため、「年齢的に大きな手術は難しい」「心臓などに別の持病がある」と諦めざるを得なかった方にも、受けていただきやすい治療です。
③ 入院期間が短く、短期間でいつもの生活に戻れる 従来の手術では退院までに数週間から1ヶ月かかることもありましたが、ステントグラフト治療なら通常数日〜1週間程度の短期入院で済みます。治療後はすぐに歩くことができ、これまで通りの日常に早く戻ることができます。
4. 突然の不安を抱え込まず、まずはご相談ください
「動脈瘤がある」と言われると、どうしても明日破裂するのではないかと怖い気持ちになってしまうものです。しかし、こぶの大きさや形によって、すぐに急いで治療すべきか、しばらく様子を見て大丈夫かは異なります。
私たちは、カテーテルを使った「切らない治療」の専門医です。患者さんの今の状態を正確に診断し、ライフスタイルに最大限配慮した負担の少ない治療プランをご提案します。 「まずは話だけ聞いてみたい」「自分のこぶの今の状態を詳しく知りたい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事の監修医 :
市橋 成夫 / SHIGEO ICHIHASHI

