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Treatment
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This page presents treatments offered by V health Connect. It provides the latest treatment information, including overviews of various diseases and details about state-of-the-art therapies. The information available may vary by language.

1 前立腺肥大症 前立腺が肥大して、様々な排尿の症状を引き起こす疾患。

切らない前立腺肥大症の治療

前立腺動脈塞栓術 PAE

Prostatic Artery Embolization

ポルトガル リスボンのDr Bilhimの施設への見学

新を最速で、確実に。

前立腺肥大症に対する新たなカテーテル治療法として前立腺動脈塞栓術 (PAE) が欧米諸国を中心に普及していますが、初めて有効性が報告されたのは2000年代初頭で、比較的新しい治療法です。最初の症例は前立腺組織を採取する生検後の出血に対してPAEが実施され、止血が得られたのみでなく、排尿困難など前立腺肥大症状が改善されたことから、前立腺肥大症に対する治療法として注目を集めるようになりました。しかし、本邦の保険診療制度にはまだ認可されておらず、普及には至っていません。

我々はその有効性と安全性、何より患者さんへの身体的負担が極めて少ないことに注目し、日本国内でも実施していきたいと強く思うようになりました。我々はさまざまな疾患のカテーテル治療のエキスパートではありますが、前立腺肥大症のPAEの治療経験がない状態で開始することはできません。日本国内で開始する前にPAEの治療経験を数多く持つパイオニアの一人、ポルトガルの首都リスボンのDr Tiago Bilhimを訪れ、実際の症例を経験させていただくことができました。また自施設での初症例ではインターネット回線でリスボンと繋いで、Dr Tiago Bilhimのアドバイスのもと、PAEを成功させることができました。患者さんの悩みを共有し、一例一例、確実に経験と実績を積み上げていきたいと考えております。

正常な前立腺

肥大した前立腺

【疾患概要】

前立腺肥大症とは、前立腺が大きくなることで、排尿に関連する様々な症状を引き起こす病気です。一般的な成人男性での前立腺の大きさは、体積で表した場合には20ml以下で、クルミぐらいの大きさと例えられますが、前立腺が肥大すると、鶏卵大ぐらいの大きさになることがあります。前立腺肥大症発症の危険因子は加齢ですが、その他に遺伝的要因、食生活、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常など様々な危険因子が報告されています。前立腺は直腸の前方に位置し、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいます。このため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、主に排尿症状(排尿困難をはじめとする、尿を出すことに関連した症状)、蓄尿症状(尿を貯めることに関連した症状)、排尿後症状(排尿した後に出現する症状)が出現します。

【主な症状】

[排尿障害]

排尿困難とは、尿が出にくい症状の総称ですが、”尿の勢いが弱い”、”尿を出したくでもなかなか出ない”、”尿線が分かれて出る”、”排尿の途中で尿が途切れる”、”尿をするときに力まなければならない”などの症状があります。

[蓄尿障害]

前立腺肥大症では、多くの場合頻尿がみられます。頻尿については、一日に何回以上という定義はありませんが、朝起きてから就寝までに概ね8回より多い場合、夜間は就寝後1回以上排尿のために起きる場合、それぞれ”昼間頻尿”、”夜間頻尿”と考えられます。

[排尿後症状]

排尿後に”どうもすっきりしない”、”尿が残っているような感じがする”といった”残尿感”の訴えが多いです。また、排尿を終えたと思って、下着をつけると尿が漏れて下着が汚れることがあります。


治療

鼠径部の総大腿動脈もしくは手首の橈骨動脈を局所麻酔下に穿刺し、カテーテルを両側の前立腺動脈に挿入し、血管造影を行います。前立腺動脈に選択的に塞栓物質を注入、前立腺の動脈血流を遮断し、前立腺に虚血(栄養が行かない状態)を生じさせます。前立腺は徐々に壊死、縮小することで、症状の緩和が得られます。低侵襲治療ですので、超高齢の患者さんや合併症を多く持たれているために全身麻酔が受けられない患者さんにも実施可能です。またTURPなどの手術後の合併症として知られる逆行性射精などの射精障害や勃起障害、尿道狭窄も起こりにくいとされています。

最小限の身体的負担

鼠径部の総大腿動脈もしくは手首の橈骨動脈を局所麻酔下に穿刺し、カテーテルを両側の前立腺動脈に挿入し、血管造影を行います。前立腺動脈に選択的に塞栓物質を注入、前立腺の動脈血流を遮断し、前立腺に虚血(栄養が行かない状態)を生じさせます。前立腺は徐々に壊死、縮小することで、症状の緩和が得られます。低侵襲治療ですので、超高齢の患者さんや合併症を多く持たれているために全身麻酔が受けられない患者さんにも実施可能です。またTURPなどの手術後の合併症として知られる逆行性射精などの射精障害や勃起障害、尿道狭窄も起こりにくいとされています。

[前立腺動脈塞栓術 PAEの技術的成功率と治療効果]

約91-93%の症例で左右両側の前立腺動脈へのカテーテルの挿入、塞栓物質の注入が可能だったと報告されています1,2。約7-9%程度の症例では動脈の屈曲蛇行や狭窄・閉塞があるために、カテーテルを左右両側の前立腺動脈まで進めることができず、片側のみの前立腺動脈塞栓に終わる場合があります。

PAE後の症状再発率は治療後12ヶ月で11%、30ヶ月で20%程度とされ1、症状の再発に対して再度PAEが実施された割合は1年で3%、5年で21%、10年で23%と報告されています2。従来の手術と異なり、PAEはカテーテル治療ですので、再治療は比較的行いやすい治療ともいえます。

[前立腺動脈塞栓術 PAEの実際]

70歳代男性、前立腺肥大による排尿障害にお悩みでしたが、会社経営者でありお仕事を休めないとのことで、通常の手術ではなくPAEでの治療を希望されました。左右前立腺動脈にカテーテルを進め、塞栓物質をそれぞれに注入しました。注入後の血管造影では、前立腺の描出が消失しています。術前後のMRIを比較すると、術後著明前立腺が縮小している様子が観察されます。治療前は毎日4-5回自己導尿をされていましたが、PAE後は自己導尿を必要しなくなり、満足されています。

[前立腺動脈塞栓術 PAEの合併症]

PAEは重篤な合併症は稀で、安全な治療法であることが報告されています。合併症は前立腺動脈以外への血管に塞栓物質が流れてしまうことで生じるもの (陰茎潰瘍や膀胱潰瘍、直腸潰瘍)、尿路感染、尿閉や血管損傷などが挙げられます。

[前立腺動脈塞栓術 PAEの費用]

PAEは欧米では普及していますが、本邦では保険認可されていない新規医療で、自己負担となります。費用に関しましては、PAEを受けられる各医療施設でご確認ください。

引用文献

  1. 1.Carnevale FC, Moreira AM, de Assis AM, et al. Radiology. 2020;296:444-51.
  2. 2.Bilhim T, Costa NV, Torres D, et al. Cardiovascular and interventional radiology. 2022;45:1324-36.

前立腺肥大症に対する治療法の比較

麻酔方法治療時間術後尿道カテーテル留置期間身体的負担保険診療
前立腺動脈塞栓術(PAE)局所麻酔動脈内からカテーテルで栄養血管を塞栓2時間なし対象外(自費)
経尿道的前立腺切除術(TURP)全身麻酔または腰椎麻酔尿道内から前立腺を
内視鏡的に切除
2時間5日間保険診療可
経尿道的前立腺核出術(HoLEP)全身麻酔または腰椎麻酔尿道内から前立腺を
内視鏡的にレーザーで核出
2時間5日間保険診療可

FLOW - 受診の流れ -

1
【お問い合わせ】
本サイトのお問い合わせページのコンタクトフォームよりお問い合わせください。
2
【関連機関での受診】
日本国内関連機関で受診をしていただき、診察とヒアリングを行います。
3
【手術】
ご都合に合わせた治療スケジュールを策定し、手術を行います。
4
【外来フォロー】
手術後、必要に応じてフォローを行います。
5
【退院後外来】
退院後、必要に応じてフォローを行います。
INQUIRY

2 大動脈瘤 大動脈がこぶの様に膨らむ病気です。

切らない大動脈瘤の治療

ステントグラフト治療 EVAR

EndoVascular Aneurysm Repair

正常な大動脈

大動脈瘤

【疾患概要】

大動脈瘤とは、大動脈がこぶの様に膨らむ病気のことをいいます。動脈壁(血管の壁)の弱くなっている部分に発生し、血流によって圧力が加えられると外側に向けてふくらみます。動脈瘤を治療しないで放置すると、どんどん大きくなり、破裂して大出血を起こす可能性が高くなります。破裂した場合の治療成績はきわめて不良で、場合によっては病院にたどり着けずに突然死となることもあります。破裂すると死亡率は60-80%とも言われています。

【主な症状】

大動脈瘤の大半は無症状で、知らない間に大きくなります。動脈瘤がかなり大きくなると、腹部の異常拍動で発見されたり、健診で偶然発見されることもあります。
破裂すると背中や腰、腹部に激痛を生じることが多いです。患者さんは急速にショック状態に至り、無治療であれば出血のため死亡します。


治療


最小限の身体的負担。

2007年より日本国内で企業製の腹部大動脈瘤治療用ステントグラフトが保険適応となり、使用可能となりました。ステントグラフトはステントと呼ばれる金属の骨格部分とそれを覆うグラフトと呼ばれる人工血管の部分からできています。従来の外科手術のように腹や胸を切開することなく、足の付け根(鼠径部)の動脈からカテーテルを使用して、ステントグラフトを大動脈瘤部分に留置します。大動脈瘤の部分には血圧が直接かからなくなりますので、破裂の危険がなくなり、良好な成績が世界中から報告されています。EVARは血管内治療ですので、外科手術に比べ体への負担が少ないのが最大の特徴で、局所麻酔でも施行できます。

[合併症リスクを最小限に。]

EVARは従来の外科手術に比べると、手術侵襲度が極めて低く、高齢の患者さんにも安全に実施することが可能です。ただ手術後10年以後など長期的には外科手術に治療成績が劣るという報告が報告されています。その大きな原因として大動脈の分枝からの逆流によるtype II endoleak (エンドリーク) が知られています。ステントグラフトで動脈瘤がカバーされても、type II endoleakが生じると動脈瘤内に持続的に血流が入り、動脈瘤が増大します。手術後8年以後の晩期に動脈瘤が破裂するリスクが外科手術に比べ高いと報告されています。そのため近年ではtype II endoleakの発生を抑制するために、ステントグラフト留置の直前に予防的な大動脈分枝の塞栓術を実施しています。

FLOW - 受診の流れ -

1
【お問い合わせ】
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日本国内関連機関で受診をしていただき、診察とヒアリングを行います。
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【手術】
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【外来フォロー】
手術後、必要に応じてフォローを行います。
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【退院後外来】
退院後、必要に応じてフォローを行います。
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3 下肢閉塞性動脈硬化症 動脈硬化が原因となって下肢の動脈が閉塞する病気。

下肢閉塞性動脈硬化症

【疾患概要】

下肢閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化が原因となって下肢の動脈が閉塞する病気です。少し歩くと臀部や太ももの裏、ふくらはぎの筋肉が痛くなり、休むと再び歩くことができるという間欠性跛行症状が特徴的です。さらに重症化すると安静時でも足の冷感や疼痛が強く、疼痛のあまり睡眠障害をきたすこともあります。次第に足に潰瘍や壊疽ができても治らなくなり、早急に血流を改善しなければ、下肢を切断しなくてはならない患者さんもおられます (重症虚血肢)。多くの患者さんは腰椎症や椎間板ヘルニアなどの腰の病気が原因と説明をうけ、下肢動脈が閉塞していることを見過ごされています。我々は下肢動脈閉塞の血管内治療を数多く経験しており、治療成績では世界でもトップクラスです。安全かつ効果的な下肢動脈の血行再建を行い、間欠性跛行症状や重症虚血肢などでお悩みの患者さんのQOL改善に貢献したいと考えております。


治療


下肢閉塞性動脈硬化症の血管内治療

局所麻酔を行い、鼠径部や手首の動脈を穿刺し、カテーテルを血管内に挿入します。血管が細くなっている部位を風船で拡張させたり、またステントを留置します。すべて血管内のみの操作ですので、痛みはほとんどなく、身体への負担も最小限で済みます。治療時間は治療部位・難易度により異なりますが、およそ30分から2時間程度です。

[下肢閉塞性動脈硬化症の血管内治療成績]

左右両側腸骨動脈が閉塞している患者さんで、100mの歩行で両脚が痛くなる間欠性跛行症状で紹介になりました。左右腸骨動脈にステントを留置し、良好な血管の拡張と血流再開が得られています。術後から患者さんの歩行時の疼痛は消失し、何キロでも休憩なしで歩行ができるようになりました。また別の患者さんですが、左足第一趾の壊死があり、左大腿部の動脈の閉塞がありました。ステントを留置し、血行再建を実施の後、壊死部の小切断を実施し、完全な創傷治癒が得られています。

[下肢閉塞性動脈硬化症の実際]

また別の患者さんですが、左足第一趾の壊死があり、左大腿部の動脈の閉塞がありました。ステントを留置し、血行再建を実施の後、壊死部の小切断を実施し、完全な創傷治癒が得られています。


左右両側腸骨動脈が閉塞している患者さんで、100mの歩行で両脚が痛くなる間欠性跛行症状で紹介になりました。左右腸骨動脈にステントを留置し、良好な血管の拡張と血流再開が得られています。術後から患者さんの歩行時の疼痛は消失し、何キロでも休憩なしで歩行ができるようになりました。

引用文献

Ichihashi S, Higashiura W, Kichikawa K et al. J Vasc Surg. 2011; 53: 992-9.

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手術後、必要に応じてフォローを行います。
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【退院後外来】
退院後、必要に応じてフォローを行います。
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